カーポートは建築確認申請が必要?|違法にならないための注意点を専門店が解説

カーポートをご検討中のお客様から、
「カーポートって建築確認申請は必要ですか?」
「申請せずに設置するとどうなりますか?」
といったご相談をいただくことがあります。
カーポートは人気で身近なエクステリア工事ですが、意外と法律による規制が厳しいという一面があります。
インターネット上では「カーポートは申請不要」と紹介されていることもありますが、実際には敷地条件や地域指定によって扱いが異なるため、一律には判断できません。
知らずに工事を進めてしまうと、後々トラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。
そこで今回は、カーポート工事における建築確認申請について、確認が必要になりやすいケースや注意点を専門店の視点から分かりやすく解説いたします。
- 1. 結論から
- 2. 確認申請について説明
- 2.1. 確認申請とは…
- 3. 確認申請が必要になりやすいケース
- 3.1. ① “建築物”扱いとなるケース
- 3.2. ② 10㎡を超える大きさの場合
- 3.3. ③ 防火地域・準防火地域の場合
- 4. よくある間違い「建築面積の緩和措置」=確認申請不要?
- 5. 無申請で工事するとどうなる?
- 5.1. デメリット 1:安全性の問題
- 5.2. デメリット 2:資産価値の低下
- 5.3. デメリット3:リフォームや増築時にトラブルのきっかけとなる
- 5.4. デメリット4:保険が下りない可能性がある
- 6. 安心して工事をするためのポイント
- 6.1. ■ 自分でも確認申請が必要な工事なのか調べてみる
- 6.2. ■ 市区町村の建築指導課・都市計画課に相談する
- 6.3. ■ 法規に理解のある業者へ相談する
- 7. よくあるご質問
- 7.1. 確認申請の不要なカーポートはありますか?
- 7.2. 申請費用はどのくらいかかりますか?
- 7.3. 既に設置されたカーポートでも申請できますか?
- 8. まとめ
結論から
結論から申し上げると、
カーポート工事は建築確認申請(以下「確認申請」と称する)が必要となるケースの方が圧倒的に多いです。
詳しくは後述いたしますが…
確認申請が“不要”となる条件は以下のような場合です。
- 床面積(大きさ)が10㎡以内のカーポートの設置(※防火地域・準防火地域を除く)
- 都市計画区域などの指定された地域外でのカーポートの設置
逆に言うと、これらに該当しない場合には、確認申請が必要となる可能性は高いです。
例えば、1台用のカーポートの中でも小さいサイズである「間口2.4m×奥行5.0m」であってもその床面積は約12㎡となり、確認申請が必要であることが分かります。
“確認申請が必要かどうか”の最終的な回答は、行政機関によるものとなりますが、
基本的には行政機関も建築基準法などに準拠した回答となるため、「確認申請とは何か」、「確認申請が必要な条件」を事前に把握しておくことは非常に重要です。
以下では、根拠となる法律・条文を簡単に説明し、カーポート工事で確認申請が必要となりやすいケースを紹介してまいります。
確認申請について説明
具体的なケース紹介に入る前に、まず確認申請とはどのようなものか、ざっくり説明いたします。

確認申請とは…
その工事(計画)が、建築基準法その他関係法令に適合しているのかどうか、行政や第三者機関による事前チェックを受けるものです。
指定区域内や一定の要件を満たした建築物や工作物などの建築行為をする場合には、確認申請を行い、検査を受けることが、建築基準法(第6条)により定められています。
確認申請が必要な工事にも関わらず手続きを行わずに着手した場合、行政からの是正勧告・指導・是正命令(建築物の除去、改修など)を受け、それに従わなかった場合には、3年以下の懲役や300万円以下の罰金が建築主や工事の請負人などに科されます。
確認申請が必要になりやすいケース
それでは、
カーポート工事において、どのようなケースで“確認申請が必要となる可能性が高いか”というと…
- 設置するカーポートが“建築物”扱いとなる場合
- 設置するカーポートが10㎡を超える場合
- 設置する地域が防火地域・準防火地域である場合
上記のようなケースです。
詳しく解説してまいります。
① “建築物”扱いとなるケース
建築基準法(第2条)では、以下のような条件を満たすものが“建築物”と定義されています。
1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のもの)
2. 1に付属する門もしくは塀
3. 観覧のための工作物
4. 地下・高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫、その他これらに類する施設
5. 1~4に設ける建築設備
カーポートが建築物とされるか考えると、「1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」の条文が重要となります。
カーポートは一般的に「屋根」と「柱」によって構成され、土地(地面)に固定して設置するため、建築物であると解釈されます。
逆に、藤棚やパーゴラのように「柱はあっても屋根の機能を持たないもの」を、日除け程度にカーポートとして使用する場合、建築物とされないケースもあります。


ポイント / なぜ「建築物であるか」が重要か?
建築基準法は“建築物”に対して適用される規制です。
そして、先述の通り建築物を具体的に定義しています。
したがって、その“建築物”に該当しなければ、建築基準法の適用がないため、確認申請も不要となります。
② 10㎡を超える大きさの場合
“建築物”扱いとなったカーポートを工事すると、
必ずしも確認申請が必要というわけではありません。
というのも…
建築基準法(第6条2項)にて、確認申請の実施について「・・・建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、適用しない」とされています。
すなわち、建築物扱いとなったカーポートの床面積が10㎡を超える場合には、確認申請が必要となります。
ポイント / カーポートの「床面積(大きさ)」の測り方について
カーポートの床面積を算出するにあたって重要となるのが以下の2点です。
- 柱の中心線
- 屋根の範囲


上記の例①~④では、例②のみ床面積10㎡を超えていないことになります。
実際には、各都道府県(または区市町村)ごとに、細かな“床面積の算出方法”を示している場合もあるため、床面積が10㎡を超えるか超えないか微妙なラインの場合には、行政機関に確認することをおすすめします。
③ 防火地域・準防火地域の場合
前述の建築基準法(第6条2項)は、
「防火地域および準防火地域 “外” において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合・・・適用しない」とされています。
つまり、カーポートを設置しようとする地域が、防火地域や準防火地域であった場合には、10㎡以内のものであっても確認申請が必要となります。
ポイント / 防火地域・準防火地域とは?
「防火地域・準防火地域」とは、都市計画法に基づいて、火災が発生した場合の被害が大きい市街地(駅前繁華街や建物密集地)などが指定されます。
火災の危険(延焼など)を防除するため、火災に強い構造や材料を使用することが建築基準法で義務付けられています。
カーポートも同様に、防火・防炎性能があるものが求められます。
自分の地域が、防火地域・準防火地域かどうかは、市区町村のホームページから検索できます。
よくある間違い「建築面積の緩和措置」=確認申請不要?

一部のネット情報で「カーポートは屋根の四方から1mずつ減算して面積を算出(緩和措置)するため、確認申請は不要となるケースがある」と伝えられています。
しかしながら、この緩和措置は“建ぺい率(建築面積)に関する緩和措置”で、確認申請の要否とは別に判断されます。
建ぺい率(建築基準法・第53条)とは、敷地面積に対する建築面積の割合を示す指標です。用途地域ごとにその割合が定められており、その数値を超えることを制限しています。
例えば、敷地面積100㎡の土地があり、建ぺい率が「6/10(60%)」の場合、その土地で建てられる建築面積(建築物の水平投影面積)は60㎡までとなります。
この建ぺい率の計算上において、カーポートは緩和措置(※条件あり)をうけることができ、前述の通り四方から1mずつ減算して建築面積を算出することができます。
そして、この緩和措置によって算出する面積は「建築面積」であって…
確認申請が必要かどうかの判断基準である「床面積」とは異なりますので、間違えないようご注意ください。
無申請で工事するとどうなる?
無申告であることが発覚した場合、当該建築物の違反を是正するために必要な措置を命じられ、最悪の場合には懲役刑や罰金刑にいたることがあります。
また、施工中やその後に無申告であることが発覚しなかったとしても、将来的には以下のようなデメリットがあります。
デメリット 1:安全性の問題
確認申請を行う際には、その工事計画(基礎の大きさや設置方法など)も検査対象となります。すなわち、確認申請・検査で適正とされ、計画通りの工事を行ったものに関しては、行政からその“安全性”を担保されたものとなります。
そういった意味では、無申告の工事は安全性の担保が不明瞭であり、施工業者が“どう作るか”によってその安全性が大きく左右されてしまいます。
デメリット 2:資産価値の低下
将来、家を売ろうとした時に、設置されたカーポートが無申告のものであったり、違反建築物であることが発覚した場合、不動産の価値としてマイナスとなります。
当然ながら、通常の不動産価格よりも低い評価金額で買取りをされてしまい、最悪の場合には売却できないリスクもあります。
また、違反建築物の物件を買い手が購入する場合、銀行等に不動産の担保価値が認めてもらえず、住宅ローンを組めない可能性が高いです。
デメリット3:リフォームや増築時にトラブルのきっかけとなる
将来、子どもが家を継いで、確認申請が必要な規模のリフォームや増築を行う際に、既設のカーポートが無申告のものと分かった場合には確認申請の手続きが難しくなります。
またそれだけでなく、当該カーポートが法律上の問題(建ぺい率オーバーやセットバックなど)を抱えている場合には、新しく工事が行えない上に、撤去や改修が必要となって余計な費用が生じてしまうことにもなります。
デメリット4:保険が下りない可能性がある
火災保険や地震保険において、通知義務違反(増築を伝えていない)のもの、違反建築物であることが原因で損害が発生したものである場合、保険金が支払われない場合があります。
建築物の倒壊や飛散によって近隣に被害を与えてしまった場合なども、十分な補償が受けられない可能性があるので注意が必要です。
安心して工事をするためのポイント
■ 自分でも確認申請が必要な工事なのか調べてみる
記事の冒頭(結論から)に戻りますが…
“確認申請が不要なもの”を考えてみます。
- 床面積(大きさ)が10㎡以内のカーポートの設置(※防火地域・準防火地域を除く)
- 都市計画区域などの指定された地域外でのカーポートの設置
これらに該当する場合、確認申請は原則不要となります。
補足して説明すると、上記した都市計画区域などというのは=「①都市計画区域、②準都市計画区域、③景観法第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内、④都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内」となります。
この①~④の地域に該当しない場合、原則としてカーポートの設置で確認申請は不要です。
こうしたことを自分でもある程度理解して、「確認申請が必要そうなのかどうか」事前に把握しておくことで、工事を依頼する業者とのやりとりも主体的かつスムーズに進めることができます。
また、自身の土地が「防火地域・準防火地域」、「都市計画区域など」に該当するか不明な場合には、市区町村のホームページで確認するか、下記のように行政の建築指導課・都市計画課に確認しましょう。
■ 市区町村の建築指導課・都市計画課に相談する
繰り返しになりますが、最終的な判断(当該工事において確認申請が必要かどうか)は行政機関が行います。
明確な回答を得たい場合には、市区町村の建築指導課・都市計画課等に相談をしましょう。
その際に、以下のような情報を伝えると相手方も回答しやすくなります。
- 住まいの地域(〇〇市〇〇町)
- カーポートの種類(アルミ製なのか、屋根は付くのか、屋根材は何か、柱は地面に固定されるのか)
- カーポートのサイズ(横幅〇〇m、奥行〇〇m、柱・屋根の高さ○○m)
■ 法規に理解のある業者へ相談する
確認申請を伴う工事の場合、通常の工事の流れとは異なります。
例えば、カーポートの柱を地面に固定する(基礎工事の)際に、申請した工事計画と適合するか確認するため「工程の撮影」が求められる場合があります。
こうした作業を安心して任せるためにも、法規に理解があり、確認申請を伴う工事の経験がある業者に相談・工事依頼をすることは重要となります。
よくあるご質問
確認申請の不要なカーポートはありますか?
床面積の条件(10㎡以内)をクリアするカーポートであれば、以下のような商品があります。

セルフィ フリー
メーカー:三協立山アルミ
サイズ:幅2.2m×奥行4.4m
定価(税抜):444,800円~
※リンク/メーカー商品紹介サイト
また、10㎡に満たないサイクルポートや独立テラスを使用するのもひとつの手段です。
申請費用はどのくらいかかりますか?
カーポートの単体工事であれば、確認申請費用は総額で20万円前後となることが多いです。
既に設置されたカーポートでも申請できますか?
確認申請は原則として“工事(着手)前”に行う必要があるため、既に設置されたカーポートの確認申請は基本的にはできません。
一部で、確認申請の後出しができる場合がありますが…
対象物が現行の法律に適合している場合でも、安全性・構造耐力(確認申請を普通に行った際に認められる水準の工事が行われているか)を証明することは非常にハードルが高いです。
一般的な解決方法としては、対象物を一度解体してから、確認申請を改めて行うことをおすすめします。
まとめ
確認申請の無申告が発覚して行政からの是正命令を受けた際、よくトラブルになるのが「建築主(発注者)と工事の請負人(受注者)のどちらが責任をとるのか」という問題です。
基本的に、確認申請は工事の発注者である建築主が(自身または代理で)行う必要があります。
そのため、行政からの是正命令や罰金は建築主に下されることが一般的です。
受注者である業者から、確認申請の説明が無かった場合や不要などと言われた場合には、その是正命令などに対する損害賠償請求を行うことは可能です。
しかしながら、損害賠償を請求するのにも、かなりの労力・時間・お金を費やすこととなります。
トラブルや将来的な損失を防ぐためにも、確認申請が必要な場合には行うようにしましょう。
カーポート工事の業者選びの際にはその業者が、
・正しい知識をもっているか
・ちゃんと説明してくれるか
・確認申請の経験があるか
なども判断基準として検討をしましょう。
確認申請が不要なカーポート工事であっても、その他の法律(建ぺい率やセットバックなど)は守る必要があります。そのような点も含めて、設計・施工ができる業者であれば工事の安心感につながります。
もしも・・・
・何から調べれば良いかよく分からない
・自分の考えをうまく整理できていない
・適切な判断ができているか聞いてみたい
といった場合は、専門家に相談することで方向性が明確になることもあります。
私たち・PLATINUM EXTERIOR は、業界初の工事記録サービスをはじめとして、暮らしに安心と品格を添える“本物のエクステリアづくり”を行っています。
もちろん、確認申請を伴う工事もしっかりサポートしますのでお任せください。
まだ明確に商品や工事の仕様が決まっていない場合でも、お客様の優先事項に沿ったご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の筆者
堀米 元樹
PLATINUM EXTERIOR/代表
二級建築士


