カーポートは建ぺい率に含まれる?|緩和措置や注意点を専門店が解説

住まいの利便性を高めるエクステリア製品の中でも、特に人気のカーポートですが、はじめてカーポート選びをされる方がインターネット等で色々調べていると、このような疑問をもたれることがあります。

カーポート 建ぺい率に含まれる?
カーポート 確認申請が必要?

ハウスメーカーや工務店などの専門的な建設会社じゃなくてもカーポート工事は気軽に注文できるし、そこまで気にしなくても大丈夫だろう。と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、建ぺい率や確認申請は、建築基準法に関わるルールでもあるため、内容を正しく理解しないまま工事を進めると、後から計画変更や是正対応が必要となる場合もあります。

そこで今回は「建ぺい率」について、カーポートと建ぺい率の関係や、緩和措置の考え方や注意点も含めて、専門店の視点から解説いたします。

図などを用いて分かりやすく解説しておりますので、安心してカーポートを設置するためにも、ぜひ最後までご覧になってください。

「確認申請」についてはこちらの記事で紹介しておりますので、併せてお読みくださいませ。

カーポートは建築確認申請が必要?|違法にならないための注意点を専門店が解説

カーポートをご検討中のお客様から、 「カーポートって建築確認申請は…

そもそも建ぺい率とは?

建ぺい率とは「敷地面積に対する"建築面積"の割合」です。

例えば…
50㎡の建築面積の建築物が、100㎡の敷地内にあるとすれば、建ぺい率は5/10(50%)となります。

50(建築面積・㎡)/100(敷地の面積・㎡)=5/10(建ぺい率・%)

ポイント / 建築面積とは?

建築物の外壁(または柱の中心線)で囲まれた部分の水平投影面積です。
似た用語で「床面積(延べ面積)」もあります。

今回の建ぺい率のように、どちらの面積を用いるかが重要になることもあるので、混同しないように注意が必要です。

この建ぺい率は、地域(※用途地域)ごとに異なる割合が定められています

もしも、建ぺい率をオーバーして建築物を造ってしまったら、是正指導や行政処分の対象となる可能性があります。

自分の住む地域の建ぺい率が知りたい方は、各市区町村の都市計画マップなどで確認してみて下さい。

ポイント / 用途地域とは?

用途地域(建築基準法・第48条)とは、都市計画法にもとづいて、地域ごとの建物用途や建ぺい率などを定めた制約です。
要するに、その区域には"何を建てられるのか"を決めたルールです。

「閑静な住宅街」や「工場の集まった工業地帯」を目にすることがあると思いますが、それらはこのルールによって、街づくりが整備されているからです。

カーポートによって建ぺい率オーバーになることはある?

結論から言うとカーポートを設置することで、建ぺい率オーバーとなる場合はあります

カーポートは建築面積に含まれるの?

まず、建築面積に含まれるかの前提条件として、その構造物が"建築物であるか"が重要になります。

というのも、
建築基準法において、「建築物とはどのようなものか」が下記のように定義されており、建築物ではないものは法の適用(建築面積への算入)を受けません

用語の定義(建築基準法・第2条)
一、建築物

1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のもの)
2. 1に付属する門もしくは塀
3. 観覧のための工作物
4. 地下・高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫、その他これらに類する施設
5. 1~4に設ける建築設備

上記からすると…
一般的なカーポートは、屋根と柱を備えた構造物であるため、建築基準法上「建築物」として扱われます。

そのため、
カーポートの建築面積は、建ぺい率に関与し、建ぺい率オーバーの要因となる場合があります

都市部などでは敷地に対して住宅が目一杯に建てられているケースが多いので、特に注意が必要です。

一方で、カーポートには一定条件を満たすことで「建ぺい率の緩和措置」が適用されるケースもあります。

次に、その緩和措置について分かりやすく解説いたします。

カーポートの建ぺい率に関する緩和措置とは?

建ぺい率の緩和措置は、あくまで建ぺい率計算上の考え方であり、「建築面積に含まれない」という意味ではありません。
一定条件を満たした場合に、建築面積の一部について算入を緩和できる仕組みです。

「建ぺい率の緩和措置」=「建築面積の不算入」

建築基準法施行令第2条第1項第2号において、
「…国土交通大臣が"高い開放性を有する"と認めて指定する構造の建築物又はその部分については、当該建築物又はその部分の端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。」とされています。

内容がややこしいですが、
かみ砕いて言うと「開放性が高い建築物は、端から1m分は無いものとして建築面積を計算して良いよ!」といったものです。

図にすると以下のようなイメージです。

この緩和受けるための条件である"高い開放性を有する構造物"については、以下のようなものであることが必要です。

(平成5年・建設省告示第1437号)
① 外壁を有しない部分が連続して4メートル以上であること
② 柱の間隔が2メートル以上であること
③ 天井の高さが2.1メートル以上であること
④ 地階を除く階数が1であること
※①~④すべて満たすことが必要です。

緩和措置の注意点

以下のように、住宅とカーポートを近くに設置した場合、緩和措置(建築面積の不算入)を部分的に受けられない可能性があるので注意してください。

緩和措置に関しては、各都道府県・市区町村ごとにケースバイケースで判断が異なる場合もありますので、さらに詳しく調べたい方は、管轄の建築指導課や近くの専門業者などにご相談されることをおすすめします。

建ぺい率オーバーになるとどうなる?

先述の通り
建ぺい率の計算は、建築基準法の理解や緩和措置の解釈などのややこしい点も多いため、"建ぺい率オーバー"を見落としてカーポート工事の計画が進んでしまう場合もあるかもしれません。

計画途中で気づいたり、確認申請時に建ぺい率オーバーが発覚した場合であれば「工事計画の変更・修正」や「確認申請の再提出」程度で済みますが…

カーポートを建ててしまった後に、建ぺい率オーバーが発覚した場合には、当該建築物の違反を是正するために必要な措置(建築物の除去、移転、改築など)を命じられます。
それらに従わなかった場合には、3年以下の懲役刑や300万円以下の罰金刑にいたることがあります。

また、
施工中や建築後に"建ぺい率オーバー"であることが発覚しなかったとしても、将来的には以下のようなデメリットがあります。

デメリット 1:あらたにリフォームや増築ができなくなる

確認申請が必要な規模の増改築などを行う際、当該敷地内が建ぺい率オーバーの状態となっている場合には、当然ながら確認申請が通りません。

あらたに工事が行えないだけでなく、建ぺい率オーバーを是正するための改修が必要となって、余計な費用が生じてしまうことにもなります。

デメリット 2:資産価値の低下

将来、家を売ろうとした時に、建ぺい率オーバーの違反建築物であることが発覚した場合、不動産の価値としてマイナスとなります。
当然ながら、通常の不動産価格よりも低い評価金額で買取りをされてしまい、最悪の場合には売却できないリスクもあります。

また、違反建築物の物件を買い手が購入する場合、銀行等に不動産の担保価値が認めてもらえず、住宅ローンを組めない可能性が高いです。

デメリット3:保険が下りない可能性がある

火災保険や地震保険において、通知義務違反(増築を伝えていない)のもの、違反建築物であることが原因で損害が発生したものである場合、保険金が支払われない場合があります。

建築物の倒壊や飛散によって近隣に被害を与えてしまった場合なども、十分な補償が受けられない可能性があるので注意が必要です。

安心して工事をするためのポイント

■ 自分でも建ぺい率や建築面積について調べてみる

1、建ぺい率の調べ方

自分の住む地域の建ぺい率は、各市区町村の都市計画マップなどで確認することができます。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)」でも確認が可能です。

国土交通省「不動産情報ライブラリ」の使用イメージ

もしも、計画マップなどの情報を見ても建ぺい率がよく分からない場合には、管轄する市の建築指導課・都市計画課で直接確認することも可能です。

2、敷地面積と建築面積の調べ方

建物のお引渡し書類(図面などがファイリングされたもの)の中に"建築確認済証・検査済証"があればそちらに竣工時の敷地面積や建築面積などが記載されています。

もし該当の書類が無いようであれば…

  • 建物を建てたハウスメーカー・工務店に確認
  • 台帳記載事項証明書(役所や役場の建築関連担当窓口で発行可能)で確認

などの確認方法があります。

建ぺい率、敷地面積、既存建築面積が分かれば、
新しく建てられる建築面積がどのくらいあるか分かります。

例)200(敷地面積・㎡)×50(建ぺい率・%)-70(既存建築面積・㎡)=30(新しく建てられる建築面積・㎡)

■ 法規に理解のある業者へ工事を依頼する

業者によって、カーポートに関する建ぺい率や緩和措置への理解度は異なります。

  • 見積りのための現地調査時に、敷地面積や既存建築面積も確認して、建ぺい率オーバーとならないか気にしているか
  • 地域の建ぺい率を把握しているか

こうした点も、"安心して相談ができて工事を任せることのできる業者"を選ぶための指標となります。

よくあるご質問

建ぺい率の緩和措置(建築面積の不算入)が適用されて、カーポートの建築面積が10㎡以内の場合「確認申請」は不要ですか?

確認申請が必要かどうかの判断は「床面積」で判断されるため、建築面積が10㎡以内であったとしても、カーポートの床面積が10㎡を超えている(且つ都市計画区域等の地域に該当する)場合には確認申請は原則必要となります。

詳しくはこちらの記事をご参考ください。

カーポートは建築確認申請が必要?|違法にならないための注意点を専門店が解説

カーポートをご検討中のお客様から、 「カーポートって建築確認申請は…

1台用のカーポートでも建ぺい率(建築面積)に含まれますか?

はい。一般的なカーポートは1台用・2台用にもかかわらず、"建築物"とみなされるものに関しては建築面積に含まれるため、建ぺい率オーバーとならないよう注意が必要です。

ただし、緩和措置によって建築面積は1~4㎡程度とみなされる場合も多いので、1台用のカーポートを設置して建ぺい率オーバーとなるケースは稀ではあります。

建築面積に含まれないカーポートはありますか?

  • 緩和措置により建築面積が"0㎡"となった場合
  • "建築物"として扱われない場合

上記のケースでカーポートを設置した場合、建築面積への算入は行われない(建築面積に含まれない)ものと考えることができます。

「建築物として扱われない場合」の具体的な事例を紹介すると…
①屋根の無いパーゴラ
②フレームに可動式のオーニングを備えたもの

①「屋根の無いパーゴラ」のイメージ
②「フレームに可動式オーニングを備えたもの」イメージ

こうしたものは、建築基準法の建築物としての定義(土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの)から外れていると解釈でき、建築物として扱われない場合もあります。

ただし、各都道府県・市区町村ごとにケースバイケースで判断が異なる場合もありますので、詳しく調べたい方は、管轄の建築指導課などにご確認ください。

まとめ

カーポートは比較的身近なエクステリア工事ですが、条件によっては建築面積として扱われ、建ぺい率に関係してくる場合があります。

また、緩和措置があるからといって「建ぺい率に含まれない」というわけではなく、地域条件や配置条件などによって考え方が異なるため注意が必要です。

設置したカーポートが、建ぺい率オーバーなどの法的な問題を抱えていることが発覚し、行政からの是正命令を受けた際、よくトラブルになるのが「建築主(発注者)と工事の請負人(受注者)のどちらが責任をとるのか」という問題です。

受注者である業者から、建ぺい率の確認や説明が無かった場合には、その是正命令などに対する損害賠償請求を行うことは可能ですが、行政からの是正命令や罰金は建築主に下されることが一般的です。

しかしながら、損害賠償を請求するのにも、かなりの労力・時間・お金を費やすこととなります。

カーポート工事の業者選びの際にはその業者が、
・正しい知識をもっているか
・ちゃんと説明してくれるか
・法的な問題がないかも含めて計画してくれるか
なども判断基準として検討をしましょう。

建ぺい率だけでなく、その他にもカーポート工事において守らなくてはならない法律・条例があります。そのような点も含めて、設計・施工ができる業者であれば工事の安心感につながります。

もしも・・・
・何から調べれば良いかよく分からない
・自分の考えをうまく整理できていない
・適切な判断ができているか聞いてみたい
といった場合は、専門家に相談することで方向性が明確になることもあります。

私たち・PLATINUM EXTERIOR は、業界初の工事記録サービスをはじめとして、暮らしに安心と品格を添える“本物のエクステリアづくり”を行っています。
もちろん、建ぺい率の確認にはじめ、確認申請を伴う工事もしっかりサポートしますのでお任せください。
まだ明確に商品や工事の仕様が決まっていない場合でも、お客様の優先事項に沿ったご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の筆者

堀米 元樹

PLATINUM EXTERIOR/代表

二級建築士